発達障害ガイド http://h-guide.net/about_hattatsu/

発達障害って何?症状・特徴・原因から診断・診断・治療まで

広汎性発達障害・ADHD・学習障害など子供の発達障害が気になっている方に向けて、特徴や症状、相談窓口や専門機関、検査や診断、療育や進路などの情報を掲載しています。

最近よく耳にする発達障害とは何なのでしょうか?
テレビなどで発達障害の特集を見たりして「うちの子供、もしかして発達障害かも?」と、ひそかに不安や心配しているご家族も多いかと思います。
そこでお子さんが心配な方、悩んでいる方に向けて、発達障害の特徴や症状、診断などについての基礎的な情報をまとめました。

はじめに

発達障害は知的障害などの分かりやすい症状をともなっていない限り、とても見つかりにくい障害です。
親や周囲が子供の発達障害に気がつかなかったため、努力不足だと決めつけられ、失敗を叱られ続けた結果、思春期以降に心の病気を発症してしまうことも珍しくありません。

発達障害の子供の多くは、親や学校の先生を困らせる存在になりがちですが、実は誰よりも困っているのは本人です。
発達障害を見逃されて苦しむ子供も多い中で、お子さんの様子に違和感を感じて、発達障害かも?と疑ったりすることは、言い換えれば、日々お子さんをきちんと見守っていて、お子さんが発している小さなサインを見逃さなかったとも言えます。

発達障害とは?

文科省の調査と医療機関の調査によれば、学齢期の子供の1割近くが発達障害であるという結果が出ています。
これは明らかに発達障害と診断される子供だけの人数で、発達障害の傾向がある軽度の子供までを含めると、クラスに2〜3人前後の子供が発達障害または傾向があると言われています。

このように発達障害は珍しいことではありません。
では発達障害っていったいどんな障害なのでしょうか?

発達障害とは、生まれつき脳の一部の機能や構造が違っていることが原因で生じる障害のことです。

発達障害は脳の機能の障害

発達障害はいくつかの種類に分類されますが、どの種類にも共通して、個人差がとても大きいこと、知力や感覚・コミュニケーション能力・運動能力・言語能力などの能力のバランスが偏っているために社会に適応しにくい特性を持っている特徴があります。

人は誰もがある程度の得意不得意を持っているものですが、発達障害がある人は、得意なこと不得意なことの差が激しく、単に性格や個性では済まされないほど、努力をしても出来ないことや克服できない苦手をたくさん持っています。

発達障害は病気ではなく生まれつきの障害であるため完全に治ることはありません。ですが、家族や周囲の人々が本人の特徴を正しく理解をし、成長段階に応じた適切なサポートを続けていくことで、社会に適応する力を伸ばすことができます。

発達障害の種類

発達障害は、自閉症スペクトラム(広汎性発達障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、学習障害(LD)、精神遅滞(知的能力障害)に分類されます。
この分類はWHOによる国際的な基準にしたがって決められたもので、発達障害者支援法によって定められています。

発達障害は多くの場合、それぞれの種類の特徴が重なりあって現れます。
症状や特徴は個人差がとても大きく、それぞれの育ち方や環境などによって大きく変わり、また成長によっても変化します。

発達障害において診断名はあまり重要ではありません。同じ診断名でも1人1人全く特徴が違うため、診断名はその時の子供の特徴や傾向を把握するための手がかりの1つとして捉えることをおすすめします。

以下の3種類の発達障害の特徴や症状や対策などについては、解説ページをご覧ください。


自閉症スペクトラム(広汎性発達障害)
ADHD(注意欠陥多動性障害)
学習障害(LD)

発達障害の原因・遺伝・性別

発達障害の原因とは?

かつて発達障害は家庭環境や親のしつけが原因と考えられてきましたが、現在では育て方やしつけとはまったく関係がない事が科学的に解っています。
発達障害のはっきりとした原因はまだ解明されていませんが、遺伝子など何らかの理由で、先天的に脳や中枢神経の一部の機能に障害が起きることが原因だと考えられています。

発達障害は遺伝する?

発達障害が親から子へ遺伝する可能性については、100%ではないものの発生しやすいことがわかっています。
親のどちらかが発達障害の特性を持っていると、子供が発達障害である確率はやや高くなります。しかし、兄弟そろって発達障害というケースはあまり多くないため、必ずしも親から子に遺伝するとは言い切れません。

発達障害は男の子と女の子どちらが多い?

諸外国の調査を合わせると、発達障害の発生には男女差があり、男の子の方がやや多いと言われています。
しかし女の子の発達障害も決して少ないわけではく、女の子だから大丈夫と安心できるわけではありません。

発達障害の相談窓口

「うちの子供は他の子となんか違う」と感じたら、1人で悩まずに専門機関に相談しましょう。
発達障害の相談窓口には、主に2つのルートがあります。

自治体の相談窓口

  • 発達障害者支援センター全国の一覧はこちら
  • 児童相談所
  • 市町村の保健センター
  • 子育て支援センター
  • 役所の子供家庭支援課(自治体によって名称が違います)

上記のいずれかの窓口に相談すると、地域の公設の療育センターを紹介され(自治体によって違います)、あらためて初診の予約を取ります。

医療機関

小児神経科や児童精神科で診察を受けられます。紹介状が必要な場合は、かかりつけの小児科にお願いしましょう。

発達障害の検査機関の選び方

発達障害の検査を受ける場合は、知能検査だけではなく、体の動きや言語などの検査も受けられる所をおすすめします。
動作の検査は作業療法士、言語の検査は言語聴覚士、と国家資格を持った専門家が行います。公設の療育センターや大きな病院には常駐していますが、小さい医療機関は対応していない場合もあるため、確認が必要です。

発達障害の相談は早めに動くことが大切

発達障害を診察できる医療機関は、公設民間を問わずどこでもとても混んでいます。初診まで最短で3ヶ月、長くて半年以上待つことも珍しくありません。
もし発達障害と診断されて療育が必要になった場合、療育機関の定員が一杯で1年以上のキャンセル待ちということもあります。
発達障害の専門機関は基本的にどこも長く待たされることを念頭に、悩み続けるよりもとりあえず連絡して、相談だけは先に済ませておくことをおすすめします。

初診から検査まで

いきなり検査をされることはなく、初診は親への問診が中心に行われます。
母子手帳の他に、幼稚園保育園との連絡帳や、普段の生活で気になるところをまとめたメモを持参することをおすすめします。
学校や幼稚園など親が見ていない所での様子を、事前に先生に聞いておくことも良いと思います。

発達障害の診断や検査について

発達障害は専門機関で様々な検査を受けて診断されます。
検査は様々な能力をその年齢の平均値と比較してどうか、数値の凸凹が大きいか小さいか、などの観点で行われます。

知能検査
発達障害の検査で用いられる知能検査は主に2つあります。
・ウェクスラー式知能検査(WAIS・WISC・WPPSI)
・ビネー式(田中ビネー)
知能指数(IQ)だけでなく、言語理解能力や思考・知覚推理能力、記憶力など、様々な面からテストを行います。
検査には数時間かかるため、子供によっては2日に分けて行うこともあります。
発達検査
新版K式などで、身体や社会性の発達の状態を調べます。
脳波や脳のCT・MRI
発達障害以外の脳の障害、てんかんなどがないかを調べることもあります。
視力・聴力の検査
文字の覚えにくさやコミュニケーションの困難さの原因が、視力や聴力によるものかどうかを調べます。
運動能力の検査
体や指先の動作に問題がないかを調べます。

治療・療育・ケア・進路

発達障害と診断された場合は、治療を受けることになります。発達障害の場合の治療は、療育と呼ばれる様々な能力のトレーニングや、スキルを身につけることが中心となります。また療育は、子供の年齢によって通う機関や受ける内容が変わります。

※薬物療法はADHDの傾向が強い子供にのみ、コンサータまたはストラテラが処方されます。最初からいきなり投薬を勧められることはなく、薬物療法を行うかどうかも家庭の方針が尊重されます。

就学前の場合

児童発達支援センター、児童発達支援事業所、児童療育センターなどに、週1回〜2週に1回程度通って療育を受けます。
療育の内容は、言葉の理解やお友達との接し方、集団行動に馴染むこと、体や指先の動作能力を高める、などを目標に、専門家によるトレーニングが中心です。

小学生の場合

就学前に通っていた療育機関の大半は、就学前までの間しか利用できないため、小学校入学のタイミングで、下記のように進路が別れます。

特別支援学校
心身に障害を持つ子供が通う学校です。知的障害を伴っている子供、専門性の高い支援が必要な子供が対象となります。
特別支援学級
一般の小学校の中にある特別支援の学級です。発達障害の特性が強く、通常級で過ごすことが難しい子供が対象。普段は少人数の教室で授業を受け、子供によっては図工や体育は通常級で受けること(交流授業)もあります。
特別支援学級に通えば専門的な教育が受けられるとは限りません。授業内容は地域差・学校差が大きく、担任の先生は特別支援教育の知識があるとは限らないため、事前によく確認することをおすすめします。
通常学級+通級指導教室
基本的には通常学級で過ごし、通級指導の時間のみ通級指導教室に通って支援を受けます。学校内に通級がある場合は、特定の授業は通級で受けることもあります。在籍校にない場合は、週1回〜月1回、学校を抜けて通級がある学校へ通います。
指導内容は、SST(ソーシャルスキルトレーニング)が中心で、友達との付き合い方や集団での過ごし方を学びます。在籍学級と通級と家庭とで連携して、子供の様子を共有して成長を見守ることが出来ます。
どこの通級教室も定員がいっぱいなことが多く、最長で3年しか通えない地域もあります。
通常学級+民間の医療機関や療育施設
通級指導教室の定員がいっぱいで待てない場合、通級の指導内容では物足りない場合、在籍校に発達障害を伏せておきたい場合などは、民間の施設に通うこともあります。
民間ですので高額な費用がかかります。
通常学級+放課後等デイサービス
放課後等デイサービスは、障害のある子供が学校後や長期休みに過ごすことが出来る、学童保育のようなサービスです。
サービス内容は事業所によって大きく変わり、療育を行っている施設、運動や絵画が中心の習い事のような施設、学習支援を行っている塾のような施設など様々です。
役所に受給者証を申請して取得することで、国と自治体から利用料の9割が給付され、1割の自己負担で利用できます。
通級指導教室や民間施設と並行して利用することもできます。

メリット・デメリット・地域差を確認

どの進路にもメリット・デメリットがあり、また大きな地域差もあります。
子供が過ごす環境や授業内容、卒業後の進路など、出来る限りの情報収集をして検討することをおすすめします。

支援が途切れないように

通常学級に在籍する場合は、支援が途切れてしまわないように、専門機関を年1回は受診しておくことをおすすめします。通常の中学高校に進学する場合は、教育機関での支援はほとんど受けられなくなってしまうため、思春期になっても通えるような機関、主治医を探しておくことも大切です。

発達障害の子供の進路

就学相談・就学指導について

特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室は、通いたい人が誰でも通えるわけではなく、基本的に年度の途中で変わることもできません。
毎年6月頃から秋頃までに1〜2回行われる、自治体の教育委員会が実施する「就学指導」または「就学相談」(自治体によって名称が違います)というものを受ける必要があります。
就学相談では、行動や様子を見る行動観察、知能検査や発達検査、保護者や学校との面談など行い、その結果の元に子供に適した学校や学級が判断され、手続方法なども含めて保護者にアナウンスされます。
小学校から通級や支援学級を勧められた場合も、就学相談を受ける必要があります。

発達障害の子供を育てるヒント

日本では発達障害の制度も発展途上にあり、専門機関や専門職なども数が少ないため、公的なサービスが比較的充実している地域でさえも、子供にとって必要十分な支援を受けることは不可能です。

そのため、いかに家庭で支援を行えるか、療育的な関わりが出来るかが重要になります。
子供への理解を深めるために、本やネットで正しい知識を得て、様々な工夫を試して、子供に合う対策をどんどん取り入れていきましょう。

子供の長所を理解する

子供の短所や不得意や苦手ばかりに目がいってしまいがちですが、長所や得意や良いところを見つけることも大切です。得意なことや好きなことを見つけて伸ばすことは、子供の自信にもつながりますし、いずれ考えなければならない進路の選択の際にも役立ちます。

焦らない、比べない

発達障害の子供は、九九や地図、時計の読み方や文字の読み書きなど、クラスの子供と同じように出来ない・覚えられないという場面に沢山ぶつかります。
そんな時はまず教え方を変えたり、道具を変えたりしてみます。それでもダメな場合は特訓をするのではなく、ひとまず後回しにして様子を見ることをおすすめします。学校で教えてもらった時には出来なくても、いつの間にか出来るようになっている場合も多いです。

数年先のことも考える

発達障害の子供を育てていると、日々の対応に追われて目先のことしか考える余裕がなくなってしまうものですが、医療機関や専門サービスなどは実際に利用できるようになるまで、とても長い待ち時間がかかります。
信頼できて評判もサービスも良いところは人気が高いため、数年待ちということもあります。必要な時に必要な支援を受けるためには、数年先のことを見据えて早めに動いて準備しておくことをおすすめします。

情報収集を怠らない

優しいお医者さんや、発達障害に理解のある塾・私立学校など、発達障害の子供の支援に地域の情報は欠かせません。地域の情報はインターネットでは入手できないため、地域の親の会に参加したり相談したりして、出来る限り情報網を広げることをおすすめします。

まとめ

アメリカでは子供の発達障害が判明すると、医師や専門家から「良かったですね」と言われる地域もあるそうです。なぜなら発達障害は対処が不可能な障害ではなく、様々な対応方法が実証されていて、悩みの1つ1つに対して答えや選択肢があるからです。
また「発達障害の子供は恵まれている」と言うお母さんもいます。一般的に1人の子供に関わる大人は家族と学校・習い事の先生だけですが、発達障害の子供の場合は親と先生だけでなく、医師や専門家など複数の大人が、親と一緒に子供のことを考えて、成長をサポートしてくれるからです。

もしお子さんが発達障害と判明してもどうか落ち込まずに、子供の抱えている問題を解決し、子供の持つ力を引き出し、より良い状況を作っていくためのチャンスと、前向きに受け止めていただきたいと願っています。

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