「アンガーマネジメント」という言葉をご存知でしょうか?
アンガーマネジメントとは、アンガー(イライラや怒り)をマネジメント(管理、うまく付き合う)すること、つまり「怒りをコントロールする技術」のことです。
広汎性発達障害・ADHD・アスペルガー症候群など、自閉症スペクトラムの子供の中には、怒りをコントロールすることが苦手な、いわゆる「怒りっぽい子供」が多く見られます。特にADHDの傾向が強い子供は、カッとして衝動的に行動してしまい、暴言や暴力をふるってしまうことがあります。
怒りっぽい子供には、自分で怒りの感情をコントロールできるようにする技術を教えることが必要です。
そこで怒りのコントロール術アンガーマネジメントについて、解説や役立つ本などをまとめました。
アンガーマネジメントはお子さんだけでなく、つい子供にイライラしがちなお母さんにも役に立ちます。ぜひご覧ください。
アンガーマネジメントとは?
アンガーマネジメントは、1970年代にアメリカで開発された、アンガー(怒りやイライラ)とうまく付き合うための心理教育プログラムです。
9.11同時多発テロで、テロへの怒りに向き合わざるをえなかった人たちが多かったため、一気に広がりました。
一般的に幅広く取り入れられるようになり、現在のアメリカでは、職業や性別を問わず様々な人達がアンガーマネジメントの技術を学び、教育や医療の現場、仕事や子育てに活用しています。
日本でもここ最近急速に広がり、アンガーマネジメント研修を取り入れる企業が増えてきました。
岡山県や千葉県の中学校では、学校の授業の一貫としてアンガーマネジメントを取り入れている所もあります。
アンガーマネジメントは、怒らないようにしたり、怒りを我慢することではありません。
自分の怒りを知り、必要なテクニックを学んで実践していくことで、「怒り」の上手な表現方法や対処方法を身につけ、怒りの感情と上手に付き合うことが、アンガーマネジメントなのです。
怒りのコントロールが大切な理由
怒りは人間が持っている大切な感情の1つですが、取り扱いには注意が必要です。
怒りの表現や対応を知らなかったり間違えてしまったりすると、相手や自分を傷つけ、人間関係だけでなく心や体に悪影響を及ぼします。
例えば、怒りが自分へ向かえば、心臓や脳に負担がかかり発作に繋がったり、さらにはリストカットをするようになったりします。
また怒りは人間関係をあっという間に壊してしまいます。大切な友達を失い、大人の場合は仕事までも失ってしまう恐れもあります。
ついカッとなって相手を怪我させてしまったり傷つけてしまったりすることは、相手だけでなく自分の心も傷つきます。学校で周囲から孤立してしまい、鬱や不登校など深刻な二次障害に発展する可能性もあります。
また、子供の間は謝れば済んでいたことでも、中学生以降は傷害事件になってしまう恐れもあります。
特に他害(他人に手を出してしまうこと)のあるお子さんの場合、感情のコントロールを学ぶことは本人の将来のためにも、出来る限り早くから取り組むべき深刻な課題です。
取り返しのつかないような事態を避けるためにも、怒りやすい子供にはアンガーマネジメントを教えることをおすすめします。
また、アンガーマネジメントは子供にイライラしがちなお母さんにもおすすめです。
子供のアンガーマネジメントは何歳から?
アンガーマネジメントは、自分の感情を客観的にとらえたり、分析をする力が必要になります。そのため、低学年のうちは難しく、10歳頃から出来るようになると言われています。
低学年の間は、ソーシャルスキルトレーニングのワークブックなどで、言ってはいけない言葉を学んだりという準備をおすすめします。
子供向けアンガーマネジメントを学べる本
イラスト版子どものアンガーマネジメント : 怒りをコントロールする43のスキル
「並んでたのに、順番抜かされたら?」「友達に悪口言われたら?」「遊んでたおもちゃをとられちゃったら?」など、学校や友達関係などの場面でよく起きる、子供にとって実感を持ちやすい事例に沿って、どう考えればいいのか、どう振る舞えばいいのかが、わかりやすく丁寧に説明されています。漢字にルビがついているので、低学年の子供でも読むことができます。
アンガ―マネジメント 怒りやすい子の育て方
こちらも学校での様々な場面で起こる事例を元に、アンガーマネジメントを学べるワークブックです。アンガーマネジメントについて初めて触れる子供や保護者の方だけでなく、学校の先生におすすめの一冊です。
まとめ
怒りっぽい子供にとって、アンガーマネジメント(怒りのコントロール)を覚えることはとても大切なことです。
またアンガーマネジメントを取り入れていくことで、親自身も子供へのイライラなどとうまく付き合っていくことができます。
お子さんのために、ご自身のために、アンガーマネジメントを取り入れてみてくださいね!